誰かの時給を決めるときの考え方

あなたが誰かの時給を決めねばならなくなったら

あなたの上司があなたの机にやってくるか、もしかしたらランチかお酒の席に誘われるかもしれない。彼はあなたに他の従業員の管理者か、先導者か指導者またはそれらのうち複数の存在になってほしいと言う。

やがて半年もしないうちにあなたはチームの仲間から、自分の時給を何%あげて欲しいという要望を度々聞くようになる。あなたは困った顔をして、上司に伝えておくよ、というだろう。

あなたの企業の1年の決算が終わる頃、いよいよあなたはチームの仲間の時給のことを悩まねばならなくなる。上司は、あなたに案を出すように言うだろう。そしてあなたの上司がソフトウェア開発者でないなら、あなたの案の多くは採用されるだろう。

評価手法を作り告知しよう

あなたの役割が変わった時点で、あなたはあなたの上司とソフトウェア開発者チームが目指すところについて合意ないしは、上司の承認を得る必要がある。具体的にどんなチームにそしてどんな企業や組織にしたいのかという点について、十分に議論しなければならない。もしあなたの上司が元か現ソフトウェア開発者でない場合、この作業は困難を極めるだろう。

その場合、とても難しく難解な道だが、あなたの分身を作ることを目的としよう。あなたの価値観を被せ、あなたの良心や美点を継承させるのだ。あなたは清廉潔白な人間ではないかもしれない。しかしこの記事を読んでいる時点で、あなたに悩みとその解決法を探す探求心がある。多少の癖はあるだろうが、そこはあなたのチームの仲間には目を瞑ってもらおう。

あなたのチームの目指す先が見えてきたら、そのために必要な行動を列挙しよう。できれば、そう、学校の教室に掲示されるような口調で書くと良いだろう。「勤勉になりましょう」「挨拶をしましょう」等々。内容はどう書いてもよいが、具体的に書こう。「勤勉になろう」ではなく、「朝10時から12時と15時から17時までは、Facebookを見ずにコードを書こう!(たったの4時間です)」というように具体的な行動を明示しよう。明示するルールを絞る必要はある。しかし、具体例を欠いた「解釈」を必要とする教訓めいた幾つもの文言は、今は不要だ。(注釈:今は不要と書いたのは、将来必要になってくるからだ。あなたが役職のないただの従業員から遠くなればなるほど、抽象的に伝えよう。具体性はあなたの一つ下か二つ下の指導者が考えるのだ。)

あなたが何を重視するのかを言葉にして、それを意識させよう。その行動が守られることが目的なのではなく、あなたが重視していることを伝えるのが目的だ。

時給と成果が連動する仕組みを作ろう

あなたが特別多く時給を上昇させることのできる仲間は限られている。あなたは誰の時給をどうあげるかを考えなければならない。

あなたや会社の与えた職務を良くこなした人物はたくさんいるし、良くこなしてなくてもそうしているように見せてくる人物もいる。あなたはあなたなりの基準を持って、特別な時給を与える仲間を選ばねばならない。

特別な時給を与えるものどう選ぶか。2つ方法がある。一つは売上と利益が伸びるもしくは費用が減ることを行わせること(すなわち明確に数字に現れること)、もう一つは生産性が向上してより多くの課題を解決したり、未来の顧客を獲得したり、チームの仲間が友人の優秀なソフトウェア開発者を企業に誘うこと(あとから数字に現れること)だ。

あなたはいま数字に見えることと、後から数字になること両方を求めよう。

言うは易いが行い難し

時給と成果を連動させる、いままで何人の管理者や経営者が口をにしただろうか。結論から言うと、時給と成果を連動させることは難しいし、多くの従業員にとって特別公平な仕組みにもならないだろう。

では取り組まない方が良いかと言うとそうではない。あなたのチームの仲間は、制度変革に懸命に取り組むあなたの姿を見ている(あなたもその姿を見せるようにしよう)。

あなたが今の地位に着くまで、上司に努力を見せることを何度もしてきただろう。そしてあなたの尊敬する上司は、あなたにそんな姿を見せてきただろう。

あなたの政権を嫌がる人もいる

あなたが今の地位に付くと同時か少しして、あなたと張り合った或いは本人は張り合っていると思っていた人が辞めるか、別のチームに移っていくだろう。

あなたは王国の王子か、または有名店の二代目のように、人のチームを己のチームに作り直さねばならない。

あなたを嫌う、もしくはあなたが嫌いなチームの仲間を全員追い出してしまって良いのだろうか。あなたは誰よりも(それはあなたが彼を嫌いな分だけ)彼を評価し、役割を与え、活用しなければならない。あなたはあなたの政権を嫌がる人を重用しなければならないのだ。それは彼が能力があるからに他ならない。奴に能力なんてない、と思うかもしれない。しかし、聡明なあなたは、あなたと競り合った彼がそんな無能ではないことを既に知っている。

順番を決めよう

あなたのチームのなかで、もっとも多くの成果を出したと思う人から順番に並べよう。あなたの見ていない部分を知っている人からも話を聞こう。もしあなたのチームが10人以上なら、より小さなチームに分けて、あなたが見る人は8人以下に収めよう。あなたが超人だとしても、あまりに多くのひとは見切れない。各チームの指導者にあなたと同じように順番を決めさせよう。そしてあなたは、そのチームの指導者の順番を決めよう。この順番が、昇給を割り振る優先度になる。

チームが複数ある場合、目的が共通なら(つまり、第一開発班と第二開発班のように)チーム同士に順位をつけてもよい。目的が違うなら、人数によって予算を割り振る程度にしよう。

誹りを受けよう

あなたの管理はきっと失敗する。これまで監督兼選手のように働いてきたことがあれば容易に想像が付くだろう。

あなたが生み出したコードと同じように、教科書に載せるべき美しく実用的なコードもあれば、真っ黒に塗りつぶしてしまいたくなるような明け方のエナジードリンクと汗の匂いのするコードもあるだろう。向かい合うのがコンピュータプログラムなら、彼らは何も喋らないが、人と向き合うとそうはいかない。

あなたは誹りを受けるし、嫌われるだろう。だが同時にあなたが仲間であってよかったと言ってくれる人もいるだろう。あなたは誹りを心に留めながら、これからも最善を尽くそう。

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